競馬日々報

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2015年 第68回 宝塚記念 レース回顧・戦評

第68回宝塚記念は、スタートから前々で競馬して直線入り口で逃げ馬をかわして先頭に立ち、そのまま後続を振り切った金子真人HD所有のラブリーデイが優勝。クビ差の2着にも同馬主の牝馬デニムアンドルビーが大外から飛び込み、金子氏にとってはまさに"a lovely day"(=素晴らしい天気の一日)となった。圧倒的一番人気のゴールドシップは、ゲートが開くと同時に立ち上がってしまいそのまま大出遅れとなり、3コーナー付近では馬群に取り付くもそのまま脚を使うことなくブービーの15着に終わった。3着には4歳牝馬のショウナンパンドラで、6、10、11番人気の順で決着し三連単は528,510円の高配当となった。

ゴールドシップはゲート内で暴れたことで、枠内駐立不良で発走調教再審査となった。

ラブリーデイはスローペースの逃げ馬を捕まえ早め先頭からそのまま押し切る好騎乗

何と言っても今日の川田は冴えていた。デビュー2年目松若が1000m通過62秒5というスローペースのまま馬群を引っ張るのを変につつかずじっくりと2番手で我慢。内回りの3コーナーあたりからレッドデイヴィスが加速していくのに合わせてじっくりと加速していき、直線では一気にレッドを抜き去るとそのままトップスピードを維持しながら末脚が強烈なディープインパクト産駒デニムアンドルビーの追い込みをクビ差凌ぎ切ってゴールイン。上がりの3ハロンが11秒7、11秒0、11秒6と11秒台が連続している中を脚を余すことなく先頭でゴールを駆け抜けた。これは個人的に評価している川田騎手の強みであるところの「前に行って馬を勝たせる」の良いところが存分に出た形だ。2014年の川田の重賞勝利はハープスターを除きすべて4角7番手以内。今年も、モーリス、サトノラーゼンなど積極的な競馬をしての重賞勝ちが目立つ。中団以降の外に控えて直線で脚を伸ばしてまとめて差し切るディープインパクト的な競馬をした浜中騎乗のデニムアンドルビーを、キングカメハメハ産駒のラブリーデイで封じて見せた川田のほうがまだまだ1枚も2枚も上手であった、という「クビ差」であろう。浜中の騎乗はこれはこれでデニムアンドルビーの良さを引き出せているので、今日は川田に上手く乗られた以上勝ち目がなかった、ということか。
3着のショウナンパンドラは、内枠から最短距離を通って3着に飛び込む。デニムアンドルビーと同じくスローペースからの末脚勝負でディープ牝馬の良さがそのまま活きた展開ではあったが、この相手にこれだけ走れれば秋は楽しみだろう。4着のトーホウジャッカルは休み明けで仕上がりもイマイチなように見えたが、それでもあわや勝ち切るかという勢いで直線は外から強襲してきた。このまま無事に秋を迎えられれば、近年は評価の低い「強い菊花賞馬」の再アピールもあるかもしれない。5着と6着も牝馬で、5着ヌーヴォレコルトはコーナーではトーホウの内から一緒に追い上げるも、最後は少しだけ見劣ってしまった。ディープ牝馬のキレ味にも負けはしたが、この馬なりには走っている。6着のディアデラマドレは、このメンバーでは少し家賃が高かったか。見た目もう少しキレても良かったかもしれないが、この馬自身が上がり3ハロン34秒6でショウナンパンドラが34秒7、デニムアンドルビーが34秒0(上がり最速)ということを考えればこんなものか。7着のレッドデイヴィスはG1初騎乗の松若の騎乗が光った。この歳にして宝塚記念のような芝中距離G1で逃げて最後まで粘らせるという騎乗ぶりには、末恐ろしいの一言である。8着のラキシスは、前走大阪杯は馬場がハマっただけでこれくらいの馬場・ポジションからの競馬と他の牝馬との比較で言えば「こんなもの」であろう。

1番人気ゴールドシップは15着に敗れる

ゴールドシップ大出遅れの経緯はこの記事に詳しく載っている。

ゴールドシップの出遅れはなぜ起きた|コラム|スポーツナビ

ゴールドシップはたまらず立ち上がってしまうのだが、ここではもちろんゲートは開かれない。その後、横山典が何とか制御し、ゴールドシップも両前脚を下ろして落ち着いたように見えた。事実、裁決委員によると、ここで横山典から“大丈夫だ”という意思表示が送られ、それも含めてスターターも発走可能とみなし、ゲートをオープンした。

こればっかりはスターターもノリさんも責められない。「須貝ちゃんとしろ」としか言いようがないのだが、これまでゲートではクセを見せていないというのだから馬は(ゴールドシップは)わからないというもの。いずれにしろゴールドシップはこれでゲート再審査となり、例えば次に京都大賞典で同じことをやってしまうと今度こそ通称「13レース」と呼ばれる競馬場でのゲート試験は免れないだろう。秋シーズンは有馬記念がメイチだろうし、ゲート再審査の可能性も考慮して陣営はどのような選択をしてくるのだろうか。